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元銀行「融資課長」の行政書士が教える~金融機関は決算書のココを見て融資審査をする!ポイントはこれだ!!

2016年08月27日

【 1 】重要なポイントとは?

①「決算書」や「財務指標」の話しをされると、それだけで拒絶反応を起こしてしまう経営者の方も少なくないかと思います。

②確かに金融機関の側で使われる財務指標はかなりの数になりますが、融資審査に大きく影響する指標は、実はそれほど多くはありません。

③特に重要な数字については、各指標の算出にあたり何度も使われることが多いため、それらの数字を改善できれば、自然と他の項目についても改善につながることになります。

④しかし、「どこをどうすれば良いのかが分からない」という方々も多いと思います。そこで今回は融資審査をする上で、金融機関の側が、「決算書のどの部分を特に注目して見ているのか」を説明いたします。

【 2 】融資審査で評価を良くするための改善ポイントとは?

《 1.『資本の部』が「債務超過」になっていませんか? 》

(1)「債務超過」とは、今ある資産よりも負債の方が多い状態をいいます。

(2)この場合の決算書では、『資産の部』の総額よりも『負債の部』の総額が上回っており、『資本の部』の合計金額のところ が △(マイナス)と表示されます。

(3)対策としては、

①今後、利益を計上させながら徐々にマイナスを減額していく。

②早急な対応としては、会社に社長からの「借入金」がある場合に、それを「資本金」に充当する方法があります。

※ ただし、この場合には「債務免除益」が発生するため、その分について課税される場合もあります。

(4)なお「債務超過」のままの状態では、新規融資が望めないばかりか、金融機関側の融資方針として、現在の既存の融資について完済を求められてしまう可能性もあり、危険な状態と言わざるをえません。早急に有効な対策をとる必要があります。

《 2.毎月の返済財源は確保されていますか? 》

(1)通常の場合、融資を受けた際の返済可能額の限度は『 税引き後利益 + 減価償却費 』となっており、基本的にはこの額を超えた返済は不可能となります。

(2)もし税引き後の利益が出ずに赤字ならば、返済財源は減価償却費以下となるので、新規融資は難しくなります。

(3)対策としては、「役員報酬」を減らして利益を出すことです。

※ 税引き後利益が赤字であっても、設備の除却損や土地の売却損等の「特別損失」に振り替えられる費用については、「特別損失」として計上して、営業利益において「黒字の確保」を図るようにします。

《 3. 適正な減価償却を実施していますか? 》

(1)税法上では、固定資産の減価償却は任意とされていますが、金融機関側では固定資産の適切な償却を行なっているか、厳しくチェックをしています。

(2)対策としては、

①適正な減価償却を、毎期、確実に実施する。

②償却不足がある場合には、適正額となるまで償却を行なう。

※ 減価償却を年度によって実施したりしなかったりは、資金調達を検討する上では厳禁です。

《 4.既存の借入金とのバランスはいかがですか? 》

(1)前述したように、融資の返済財源は『 税引き後利益 + 減価償却費 』の合計額です。

(2)新規融資を受ける場合、既存の借入金についてだけでなく、その新規融資分についても、返済財源を考慮しておかなければなりません。

※ 長期借入金の返済額合計(既存+新規)≧  償却前利益(税引き後利益+減価償却費)

(3)また、「企業の長期借入金の合計額が、決算書上の返済財源額に基づいたときに、どれくらいの期間で完済できるのか?」という考え方があり、これを「債務償還年数」と呼んでいます。一般的には、良好な財務内容の企業では、この期間の上限は 10年 とされています。

≪ 計算式 ≫ 長期借入金の合計額(既存+新規)÷  償却前利益(税引き後利益+減価償却費)

《 5.価値のないものが「資産の部」に計上されていませんか? 》

(1)貸借対照表上の「資産の部」に計上されている資産には、いくつもの種類がありますが、その全てに額面通りの適正な価値があるとは限りません。

(2)実際には価値がないものの例としては、

①流行遅れや傷みなどがある商品(在庫)の場合。

②名目だけの繰延資産。

③事実上、回収ができない売掛金(受取手形)。

④時価が簿価を大きく下回っている有価証券 など。

(3)本来、これらの資産については、その現状に沿った会計処理が必要ですが、企業によってはこれらをそのままにして計上している場合が多く見受けられます。

(4)しかし、このような場合でも、金融機関はこれらの資産について適正な相場に基づき、本来の正しい資産価値に修正した上で、評価を見直しています。

《 6.税金の未払いはありませんか? 》

(1)融資を申し込む際に、特に気を付けなければならないのは、「税金類の未払い」です。

(2)とりわけ制度融資や政府系金融機関を利用した融資の場合には、それだけで「門前払い」となってしまいます。

(3)ここで言われる「税金類」とは、基本的にはその種類を問いませんので、十分な注意が必要です。

(4)なお、分割支払いが可能な場合や、納税の予定が確認できる場合に、例外的に融資が認められることもあります。事前に金融機関や当該機関に確認し、必要に応じて相談してみることも大切です。